T.放射線治療とは
癌になる人(癌罹患率)は、年々高くなって現在では、一生のうち約50%の人が何らかの癌になり、死亡原因の1/3が癌と成っています。癌の治療は、手術、放射線、抗ガン剤(免疫療法)の三つの方法がありますが、最近はこれらの治療方法を組み合わせた方法がとられます。 以下に、国立がんセンターのホームページに掲載されている癌に関するデータを示します。
ここではその中の放射線治療について簡単に説明します。
放射線は手術、抗がん剤とともにがんの治療の中で重要な役割を果たしています。放射線は手術と同じく、がんとその周辺のみを治療する局所治療です。手術と異なるところは、臓器を摘出する必要がなく、臓器をもとのまま温存することができ、そのため治療の前と同じような生活をすることが可能な治療手段であることです。 しかし、一方で手術と違って腫瘍を取らないで放射線を照射して治療しますので、放射線が有効な腫瘍は問題がないですが、放射線が効きにくい腫瘍に対しては放射線治療が効果的でない場合があります。
放射線が、がん治療の手段として使われはじめてから100年以上がたちますが、その間に放射線治療機器、放射線生物学やコンピューターが発達し、放射線治療は急速に進歩してきました。腫瘍組織に多くの放射線量を照射し、周囲の正常組織にはできるだけ少ない量の放射線を照射することができるようになってきて、癌を治せる可能性が高くなり、しかも副作用の少ない放射線治療が行われるように成っています。また、放射線治療だけや手術だけでなくこれらを組み合わせて、更に抗ガン剤や免疫療法を組み合わせて治療を行う方法も多く行われています。
放射線治療装置 下:操作室
放射線治療に使用する放射線は、胸部エックス線写真やCT検査などで使われる放射線と同じものです。ただ、癌細胞を殺すためエネルギーの高い放射線を多量に照射する必要があります。使用する放射線もエックス線だけではなく、ガンマ線、電子線、陽子線、重粒子線など様々な放射線を使用する放射線治療も行われています。また、放射線同位元素から放出される放射線を利用する場合もあります。
いろいろな放射線の量 (mSv)